○さぬき市環境基本条例

平成19年3月19日

条例第5号

さぬき市民は、瀬戸内の穏やかな風土にはぐくまれ、多島美を誇る瀬戸内海と、それを見下ろす讃岐山脈の裾野に緑豊かな田園地帯が広がり、四季折々の実りに恵まれた自然環境と、それらによって培われた歴史的・文化的環境を祖先から受け継いできた。このような環境を私たちの世代で終わらせることなく、次の世代に引き継いでいかなければならない。

しかしながら、現代社会において、私たちは、大量生産・大量消費の社会システムの中で、物質的に豊かで便利な暮らしを享受する一方、自然環境の消失や資源とエネルギーの限りない消費と多量の廃棄を生み出してきた。このような生産と消費の在り方は、地球規模での環境破壊をもたらしている。

私たちは、これまでの生産と消費を見直し、自然をはぐくみ、環境保全型のまちを創り出すとともに、持続可能な社会への展望を見いだすべきときにきている。

この認識の下に、私たちは、市、市民及び事業者の責務と役割を明らかにし、良好で快適な環境を確保するとともに、環境への負荷の少ないさぬき市を創りあげていくため、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、環境の保全及び創造について、基本理念を定め、並びに市、市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の市民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 環境の保全及び創造 環境を良好な水準に保ち、良好な環境が維持できるよう、また、健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受できるよう、より良い環境を創り出すことをいう。

(2) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(3) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少、その他の地球全体又は、その広範な部分の環境に影響を及ぼす事態にかかる環境の保全であって、市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

(4) 公害 環境保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。以下同じ。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全及び創造は、市民が健康で文化的な生活を営む上で必要とする健全で恵み豊かな環境を確保するとともに、その環境を将来の世代に引き継ぐことを目的として行わなければならない。

2 環境の保全及び創造は、人と自然とが共生することができ、かつ、環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な社会の構築を目指して、市、市民及び事業者のそれぞれの役割分担の下に、自主的かつ積極的に行わなければならない。

3 地球環境保全は、市、市民及び事業者のすべてが自らの課題であることを認識し、それぞれの施策、日常生活及び事業活動において、積極的に推進されなければならない。

(市の役割)

第4条 市は、前条に定める環境の保全及び創造についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、自然的、社会的条件に応じた環境の保全及び創造に関する施策を策定し、及び実施するものとする。

2 市は、基本理念にのっとり、自らの施策の実施に伴う環境への負荷の低減に努めるものとする。

(市民の役割)

第5条 市民は、基本理念にのっとり、日常生活に伴う環境への負荷の低減に自ら積極的に努めるものとする。

2 市民は、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たって、公害の防止、廃棄物の適正な処理、自然環境の保全その他環境の保全上の支障の防止のために必要な措置を講じるとともに、資源の循環的な利用その他環境への負荷の低減に努めるものとする。

2 事業者は、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(施策の策定等に係る指針)

第7条 市は、環境の保全及び創造に関する施策を策定し、及び実施するに当たっては、基本理念にのっとり、次に掲げる事項の確保を旨として、各種の施策相互の有機的な連携を図りつつ総合的かつ計画的に行うものとする。

(1) 大気、水、土壌等を良好な状態に保持することにより、健康で安心して暮らせる生活環境を保全すること。

(2) 生物の多様性を確保するとともに、多様な自然環境を保全すること。

(3) 人と自然が触れ合える潤いと安らぎを感じる快適な環境を創造すること。

(4) 資源の循環的利用を推進し、地球環境保全に資すること。

(5) 廃棄物の抑制及び減量化を推進すること。

(環境基本計画)

第8条 市長は、環境の保全及び創造に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、環境の保全及び創造に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を定めることとする。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 環境の保全及び創造に関する長期的な目標及び施策の大綱

(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関する施策を推進するために必要な事項

3 市長は、環境基本計画を定めるにあたっては、市民及び事業者の意見を聴くために必要な措置を講ずるものとする。

(環境施策等の公表)

第9条 市長は、毎年度、環境の保全及び創造に関して講じた施策について、これを公表するものとする。

(事業等の立案及び実施における環境配慮)

第10条 市は、環境に影響を及ぼすおそれのある事業等の立案及び実施にあたっては、環境の保全及び創造に配慮するために必要な措置を講ずるものとする。

(規制等の措置)

第11条 市は、公害及び環境の保全上の支障を防止するために、それぞれの原因となる行為に関し、必要な規制、指導その他の措置を講ずるよう努めるものとする。

(協定の締結)

第12条 市は、環境の保全及び創造に関し、特に必要があると認めるときは、事業者との間に環境保全及び創造に関する協定を締結することができる。

(河川等の水質の保全)

第13条 市は、河川等の水質を保全するために、水質の汚濁の原因となるおそれのあるものの低減その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(自然環境の保全及び創造)

第14条 市は、人と自然との豊かな触れ合いを確保するために、水辺や緑地等の多様な自然環境の保全及び創造に努めるものとする。

2 市は、自然環境の保全及び創造に当たっては、生物の多様性の確保に努めるものとする。

(誘導の措置)

第15条 市は、市民及び事業者が環境への負荷の低減のための施設の整備その他の適切な措置をとることとなるよう誘導するため、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(公共的な施設の整備等の推進)

第16条 市は、下水道、廃棄物の公共的な処理施設、環境への負荷の低減に資する交通施設(移動施設を含む。)等の整備、その他環境の保全上の支障の防止に資する事業の推進に努めるものとする。

2 市は、地域の特性及び環境資源を生かした快適な環境の創造に資するための公共的な施設の整備に努めるものとする。

(資源等の循環的な利用促進等)

第17条 市は、環境への負荷の低減を図るため、市の施設の建設及び維持管理、その他の事業の実施にあたっては、資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用及び廃棄物の減量等に努めるものとする。

2 市は、環境への負荷の低減を図るため、市民及び事業者による資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用、廃棄物の減量等が促進されるよう必要な措置を講ずるものとする。

(環境の保全及び創造に関する教育及び学習の振興等)

第18条 市は、市民及び事業者が環境の保全及び創造に関する理解を深めるとともに、市民及び事業者の自発的な環境の保全及び創造に関する活動を行う意欲の増進を図るため、環境の保全及び創造に関する教育及び学習の振興並びに広報活動の充実について必要な措置を講ずるものとする。

(市民及び事業者の自発的な活動の促進)

第19条 市は、市民及び事業者が自発的に行う環境の保全及び創造に関する活動が促進されるよう必要な措置を講ずるものとする。

2 市は、個人及び法人の権利利益の保護に配慮しつつ、環境の保全及び創造に資する情報を適切に提供するよう努めるものとする。

(調査及び研究)

第20条 市は、必要に応じて環境の状況を把握するとともに、環境の変化の予測その他環境の保全及び創造に関する施策の策定及び実施に必要な事項の調査及び研究に努めるものとする。

(地球環境保全)

第21条 市は、市民及び事業者と協働して地球環境保全に資する施策を積極的に推進するものとする。

(推進体制の整備)

第22条 市は、市の機関相互の連携を図り、環境の保全及び創造に関する施策を総合的に調整し、及び推進するための体制を整備するものとする。

(国、県及び他の地方公共団体との協力)

第23条 市は、環境の保全及び創造に関する施策で、広域的な取組を必要とするものについては、国、県及び他の地方公共団体と協力して、その推進に努めるものとする。

この条例は、平成19年4月1日から施行する。

さぬき市環境基本条例

平成19年3月19日 条例第5号

(平成19年4月1日施行)