○さぬき市障害を理由とする差別をなくし共に学び共に生きる社会づくり条例
平成31年3月18日
条例第3号
全ての市民は、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有している。
しかし、依然として障害のある人に対する不当な区別、排除、制限などによる差別が存在しており、これらが障害のある人の日常生活や社会生活における活動を制約し、社会参加や自立を妨げる社会的障壁となっている。
不当な差別的取扱いの多くは、障害や障害のある人に対する誤解や偏見、その他理解の不足によるものであり、この社会的障壁を取り除くためには、市民一人一人が身近な問題として障害に関する正しい知識を習得し、障害や障害のある人に対する理解を深め、障害のある人とない人との相互理解が促進されなければならない。
ここに、私たちは、障害のある人もない人も分け隔てなく、全ての市民が同じ地域に暮らす一員として、「誰もが生き生きと輝いて暮らせる“共生のまち”さぬき市」の実現を目指して、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、障害を理由とする差別の解消についての基本的理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、障害を理由とする差別の解消のための施策等を定めることにより、全ての市民が障害の有無によって分け隔てられることなく相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に寄与することを目的とする。
(1) 障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)、難病を原因とする障害その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。
(2) 社会的障壁 障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。
(3) 不当な差別的取扱い 正当な理由なく障害を理由として障害者を排除し、その権利の行使を制限し、その権利を行使する際に条件を付け、その他の障害者に対する不利益的な取扱いをすることをいう。
(4) 障害を理由とする差別 不当な差別的取扱いをすること又は合理的配慮の提供をしないことにより障害者の権利利益を侵害することをいう。
(5) 合理的配慮 障害者が現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合又はそれが明らかに認められる場合において、当該障害者が障害者でない者と同等の権利を行使することができるようにするため、その実施に伴う負担が過重とならない範囲内で、当該障害者の意向を尊重しながら、その性別、年齢及び障害の状態に応じて、必要かつ適切な現状の変更及び調整等の措置を行うことをいう。
(6) 市民 市内に居住し、通勤し、又は通学する者をいう。
(7) 事業者 市内において事業又は活動を行う個人及び法人その他の団体をいう。
(1) 全ての障害者は、障害者でない者と等しく基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有すること。
(2) 全ての障害者は、日常生活及び社会生活において、障害者でない者と同等の機会の提供を受け、及び権利を行使することができること。
(3) 全ての者は、障害者に対して、障害を理由として差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならないこと。
(4) 全ての者は、障害の多様性及び個別性を認め合い、それぞれの立場を理解し、相互に協力すること。
(市の責務)
第4条 市は、基本理念にのっとり、障害を理由とする差別の解消の推進に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施しなければならない。
(市民の役割)
第5条 市民は、基本理念にのっとり、不当な差別的取扱いの多くが障害及び障害者に対する誤解、偏見その他理解の不足から生じていることを踏まえ、障害及び障害者に対する理解を深めるとともに、前条の規定に基づき市が実施する施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第6条 事業者は、基本理念にのっとり、障害及び障害者に対する理解を深め、障害者の性別、年齢、障害の状態等に応じた合理的配慮の提供に努めるとともに、第4条の規定に基づき市が実施する施策に協力するよう努めるものとする。
(普及啓発)
第7条 市は、市民及び事業者に対し、障害及び障害者に対する理解を深めるために必要な広報及び啓発を行うものとする。
(職員対応要領及び職員研修)
第8条 市は、職員が合理的配慮を適切に行うための要領(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「障害者差別解消法」という。)第10条第1項に規定する要領をいう。)を定めるとともに、職員に対し、障害を理由とする差別の解消のために必要な研修を行うものとする。
(相談体制)
第9条 障害者及びその家族その他の関係者は、市に対し、障害を理由とする差別に関する相談をすることができる。
2 市は、前項の相談を受けたときは、必要に応じ、次に掲げる措置(以下「相談業務」という。)を行うものとする。
(1) 相談を受けた事案に係る事実の確認及び調査を行うこと。
(2) 相談をした者に必要な助言及び情報提供を行うこと。
(3) 相談を受けた事案に係る関係者間の調整を行うこと。
(4) 関係行政機関への通告、通報その他の通知を行うこと。
3 市は、第1項の相談に的確に対応するため、その体制を整備するものとする。
4 市は、障害支援事業所(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)第77条第1項第3号に規定する事業を市からの委託により行う事業所をいう。)に、相談業務の全部又は一部を委託することができる。この場合において、市は、当該受託事業所と共同して相談業務を行うものとする。
5 相談業務に従事する者又は相談業務に従事していた者は、正当な理由なく、相談業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
(障害者差別解消支援地域協議会)
第10条 市は、障害を理由とする差別に関する相談及び当該相談に係る事例を踏まえた障害を理由とする差別を解消するための取組を効果的かつ円滑に行うため、関係機関により構成する障害者差別解消支援地域協議会(障害者差別解消法第17条第1項の協議会をいう。以下「協議会」という。)を組織する。
2 協議会は、広域的な連携を図るため、他の市町村と合同で設置することができる。
3 障害者差別解消法に定めるもののほか、協議会に関し必要な事項については、市長が別に定める。
(障害者計画)
第11条 さぬき市障害者計画(障害者基本法(昭和45年法律第84号)第11条第3項の規定に基づき策定された計画をいう。)の策定又は変更に当たっては、障害を理由とする差別の解消に関する施策について定めるものとする。
(財政上の措置)
第12条 市は、障害を理由とする差別の解消に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(委任)
第13条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この条例は、平成31年4月1日から施行する。