○さぬき市手話言語及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段に関する条例

令和元年7月3日

条例第2号

障害の有無にかかわらず、生き生きと自分らしい生活を営み、安心して暮らすことのできる社会の実現は、私たち市民の共通の願いである。そのためには、お互いの考えや気持ちを伝え合い、理解し合うことが必要であり、言語を始めとしたコミュニケーション手段は、意思疎通を図り、情報を得る上で重要な役割を担っている。

その中でも、手話は、独自の言語体系を持ち、手指や体の動き、表情を使って視覚的に表現する言語である。このため、ろう者は、お互いの考えや気持ちを伝え合い、理解し合うために必要な第一言語として手話を大切に育んできた。しかしながら、長い間、手話は言語として認められず、手話を使用することができる環境が整えられなかった。

こうした中、障害者の権利に関する条約(平成26年条約第1号)において、「言語」とは、「音声言語及び手話その他の形態の非音声言語」と定義された。障害者基本法(昭和45年法律第84号)においても、平成23年の一部改正によって手話は言語であると位置付けられるとともに、障害者の意思疎通及び情報の取得又は利用のための手段についての選択の機会の確保又は拡大が図らなければならない旨が定められた。

これまで、障害者は、手話、要約筆記、点字、音訳、絵図などのそれぞれの障害の特性に応じた手段によりコミュニケーションを図ってきたが、現在の社会は、いまだそれを受容し利用する環境が整っているとは言えず、日常生活や社会生活において多くの不便や不安を感じながら暮らしている。

さぬき市は、手話が言語であるとの認識を広げるとともに、障害の特性に応じたコミュニケーション手段の普及啓発及び利用促進を図ることにより、障害者の権利を守り、全ての人が相互に人格と個性を尊重しながら、多様性を認め合う共生社会を実現するため、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識の拡大並びに障害の特性に応じたコミュニケーション手段の普及啓発及び利用促進に関する基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにすることにより、市民の障害の特性に応じたコミュニケーション手段に対する理解を深め、これらの手段が使いやすい環境を構築し、もって全ての市民が障害の有無にかかわらず多様性を認め合い、共に生きる地域社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)、難病を原因とする障害その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。

(2) ろう者 手話を言語として日常生活又は社会生活を営む者をいう。

(3) 障害の特性に応じたコミュニケーション手段 手話、要約筆記、点字、音訳、拡大文字、触手話、指点字、ひらがな表記、サイン、写真、絵図等の障害の特性に応じて利用される意思等の伝達手段をいう。

(4) 市民 市内に居住し、通勤し、又は通学する者をいう。

(5) 事業者 市内において事業又は活動を行う個人及び法人その他の団体をいう。

(基本理念)

第3条 手話が言語であるとの認識の拡大は、手話が独自の体系を持った言語であり、歴史的背景を有する文化的所産であることを基本として取り組まなければならない。

2 障害の特性に応じたコミュニケーション手段の普及啓発及び利用促進は、障害者が意思疎通を図り、又は情報を得るためのコミュニケーション手段には、障害の特性に応じた多様な形態があり、その者が自ら選択し、利用する権利を有すること及びそのことが保障されることを基本として行わなければならない。

3 障害の特性に応じたコミュニケーション手段の普及啓発及び利用促進は、障害の有無にかかわらず、誰もが円滑なコミュニケーションを図ることにより社会参加が保障されることが重要であるとの認識の下、相互に人格と個性を尊重し支え合いながら、心豊かに共生する地域社会を実現することを基本として行わなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、市民の手話が言語であるとの認識及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段への理解を広げ、これらの手段を利用しやすい環境とするための施策を推進するものとする。

(市民の役割)

第5条 市民は、基本理念に対する理解を深め、前条の規定に基づく市の施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第6条 事業者は、基本理念に対する理解を深め、第4条の規定に基づく市の施策に協力するとともに、障害の特性に応じたコミュニケーション手段を使う障害者が利用しやすいサービスの提供及び働きやすい環境の整備を行うよう努めるものとする。

(施策の推進)

第7条 市は、第4条に規定する責務を果たすため、次に掲げる施策を総合的かつ効果的に推進するものとする。

(1) 手話は言語であるとの認識の拡大に関する施策

(2) 障害の特性に応じたコミュニケーション手段への理解の拡大並びにこれらの普及啓発及び利用促進に関する施策

(3) 障害の特性に応じたコミュニケーション手段を利用しやすい環境の整備に関する施策

(4) 障害の特性に応じたコミュニケーション手段による意思疎通の支援に関する施策

(財政上の措置)

第8条 市は、前条各号に掲げる施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(委任)

第9条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、公布の日から施行する。

さぬき市手話言語及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段に関する条例

令和元年7月3日 条例第2号

(令和元年7月3日施行)

体系情報
第8編 生/第1章 社会福祉/第5節 障害者福祉
沿革情報
令和元年7月3日 条例第2号